173 / 372
3
かつては医療大国と呼ばれ、栄華を極めたという、ダマビア。
今はその影も無く、淋しい町並みが続く。
高い建物は崩れ、その瓦礫もそのままに朽ちている。
堅牢だったはずの城壁も、粉々に砕かれ低い石垣となっている。
まさに、ゴーストタウン。
幽霊が出ても、おかしくはないだろう。
アルネの体に、ひとりでに身震いが来た。
思わず胸で唱えるのは、前を行くエディンの名だ。
そこで、ふと思い出した。
(そういえばエディン様は、こんなことを言ってらした)
『私の領地からも、大勢が移住している』
(じゃあ、ネイトステフからの移住者を、時々訪ねておられるのかな?)
そんな風に考えながら、迷わず進むエディンの後ろを、アルネは歩いた。
ともだちにシェアしよう!

