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第三十六章 驚きの出会い

 訪問者がエディンと知れると、すぐに警戒を解いて現れた女性。  彼女は、彼と親しい様子だった。 「おかげさまで、下の子も元気です」 「手紙も寄こさず、すまなかったな」  涼やかな美しい声と同じく、柳の葉のようにたおやかな人だ。  しかし、黒いフェイスベールで顔を半分隠している。  その姿に、アルネは違和感を覚えた。 (普通、顔の下半分を隠すのに、この人は上半分を隠している……?)  まるで目隠しでもするように、鼻から上がまるで見えないのだ。  そこへ、奥からもう一人駆け出して来た。  今度は、まだ幼い子どもだ。 「お母さん! お客さんが来たの!?」  嬉しそうに、明るい声を上げている。  アルネは、その微笑ましい様子に頬を緩ませた。  だがしかし。 「で、出やがった! 化け物だ! 悪魔だぁ!」  バシリキの大声が響く。  その子は顔の真ん中に、一つしか目が無かったのだ。

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