177 / 372
2
突然に現れた、一つ目の化け物。
バシリキはすぐに剣を抜き、ロビーは槍を構えた。
和やかだった場に、緊張が走る。
しかしアルネは、化け物を庇うように前へ立ち塞がった。
「待って! まだ子どもです!」
「大きくなる前に、退治するんだよ!」
「アルネ坊ちゃん、危ない! そこから離れな!」
一つ目の子どもは、母親の元へたどり着く前に、転んでしまった。
「だ、大丈夫かい?」
アルネは思わず声を掛け、手を差し伸べた。
子どもがその手を取ろうと腕を伸ばした時、アルネは息を飲んだ。
(指が、2本しかない!?)
さすがに怖くなって、差し伸べた手を退きたくなったアルネだ。
しかし、その子は幼い小さな手を、必死に伸ばしてきた。
ともだちにシェアしよう!

