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 一つ目の子どもの腕は、右へ左へと定まらない仕草を見せる。  そして、ようやく二人の手は重なった。 「お兄ちゃん、ありがと」  その嬉しそうな笑顔と、邪気の無い声に、アルネの緊張は少しだけ解けた。 「……怪我は、ない?」 「大丈夫だよ!」  小さな手は温かく、アルネの心にぬくもりを与えてくる。 「元気だね。名前は、なんていうの?」 「ルキアだよ。お兄ちゃんは?」 「僕の名前は、アルネ・エドゥアルド・クラル」  アルネの返事に、ルキアは楽しそうに笑った。 「長い名前! フェリックス様みたい!」  そこでようやく、アルネは気づいた。 (この子も、エディン様と知り合いなんだ)  だったら、怖くなんかない。  アルネの強張っていた心が、しなやかさを取り戻していった。

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