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第三十七章 問われる歴史
一つしか目を持たない、ソフィアとルキア親子。
彼女はテーブルに着いたエディンら4名に、レモン水を勧めながら語り始めた。
「私は、先祖代々このダマビアに暮らす者です。昔はみんな、外の人たちと同じ姿をしていたと聞いています」
「目が二つで、指が五本だった、ということかぃ?」
今は落ち着きを取り戻したバシリキが、訊ねた。
「そうです。目の方は成長するにしたがって、小さな眼点が出てきて。それで何とか、ものの距離は測れるようになるのですが」
語るソフィアの目の横を見ると、確かに小指の先ほどの小さな窪みがあった。
それでアルネは、先程のルキアの行動を理解した。
「だからルキアは、僕の手をすぐには掴めなかったんですね」
片目を失明した場合もそうだが、両眼で見ることができないと、視野が狭くなる。
その他にも、立体視ができない、遠近感が取りにくい、などの困りごとが多いのだ。
「そいつは、大変だな。指は、二本のままなのか?」
ロビーは鍛冶屋だけあって、そういった身体の不自由さにある程度は理解があった。
仕事中に事故で大けがを負い、後遺症に苦しむ仲間もいるからだ。
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