183 / 372

3

「当初は、老いに伴う体の故障を和らげるために、処方されていたのです」  目がかすむ、耳が遠くなる、腰が曲がらない、膝が痛い。  こういった老化現象にのみ、許された投薬だった。  だがしかし。 「国民は次第に、若いうちからその薬を飲み始めました。いつまでも若く美しくありたい、と願って」 「それは確かに、みんなそう思うだろうなぁ」  一番年配のロビーが、うなずいた。  彼もそろそろ、腕が思うように上がらない日が増えてきたのだ。 「でも。そんな自然に逆らったことは、星々の神がお許しにならなかったのです」  不老の薬を常飲し始めて、ダマビア人は謎の痛みを覚えるようになった。  体を鋭く走る、激痛だ。  重症化すると、一日中痛くて動けない。 「そこで、優れた鎮痛薬・モルフェが大量に出回るようになりました」  その言葉に、アルネが反応した。

ともだちにシェアしよう!