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複雑な心境の、アルネとソフィアだった。
すでに子孫の代となり、その戦争の詳細は歴史の教科書でしか知らない。
互いにはそれぞれの正義があり、戦ったのだろうから。
だがアルネは、自分を恥じていた。
「僕は、何も知らずに。ただ、ダマビアを悪者にしていました……」
『悪魔の薬で、お金儲けをする国。つまり、悪魔の国・ダマビアを、テミスアーリンは滅ぼしたのです』
旅に発つ前、アルネはエディンにそう言って、胸を張ったことを思い出していた。
少年らしい、真っ直ぐな眼差しと、正義感で、そう言った。
しかしエディンは、こう返したのだ。
『うん。半分は正しく、半分は誤りだな』」
アルネは、唇を噛んだ。
(本当に、僕は歴史の半分しか見ていなかったんだ)
自分に都合のいい部分だけを見て、その側面を知ろうとしなかった。
そう、反省していた。
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