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「薬といえば、悪いところを治してくれる物。そうじゃねえのかぃ?」  それがどうして、人体を作り変えるようなことになってしまったのか。  バシリキの疑問はもっともだったが、ソフィアは弱弱しく首を横に振った。 「なぜ、そうなったのかは……解らないのです」 「解らないって、そんな。それじゃ、治す方法も解らないじゃねえか」  バシリキは、憤った。 「薬を作った薬師とか、偉い医者とか! そんな頭のいい連中でも、解らなかったのか!?」 「バシリキ、やめろ」 「無責任じゃねぇか!」 「バシリキさん、声が大きいです」 「だって、だってよぉ! それじゃ、あまりに不憫じゃねえか!」  熱くなったバシリキを鎮めたのは、ソフィアの一つしかない瞳からこぼれた、一粒の涙だった。 「す、すまねぇ。一番辛いのは、あんたたちダマビア人だよな……」  涙を指先でぬぐい、ソフィアは苦し気に続けた。

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