191 / 372

第三十九章 砂漠の余熱

「トップ同士が解り合えば、その手下……いや、部下たちも素直に従う、ってもんだ。なぁ、竜将親分……じゃなくって、竜将閣下!」 「素直に、かどうかは不明だが、この宿に泊めてもらうからには、従わねばな」 「もし、ソフィアさんのことを蔑んだりしたら、鞭打ち100回だぜ!」 「バシリキ殿は、案外と優しいな。私ならば、即・斬首だ」  冗談か本気か解らない、エディンの言葉だ。  ソフィアは顔を赤らめて、しきりにエプロンの裾をいじっている。 「そんな、トップだなんて。私はただの、旅館の女将です」 「それが、この宿で一番偉い、ってことだよ!」  大笑いしながら、バシリキは外へ出て行った。  手下たちに事情を話し、ダマビア人の身体特徴を驚いたり、差別したりしないようにと命令するに違いない。  彼のこれまでの言動に、アルネはピンときた。 「バシリキさんは、ソフィアさんが好きなんですね」 「良いことだ。彼女の亡くなったパートナーは、ネイトステフ人だった」  異国の人間同士が解り合って、結ばれる。  それが、今後のダマビアの未来を築いていくのだろう。  アルネとエディンは、顔を見合わせ微笑んだ。

ともだちにシェアしよう!