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第三十九章 砂漠の余熱
「トップ同士が解り合えば、その手下……いや、部下たちも素直に従う、ってもんだ。なぁ、竜将親分……じゃなくって、竜将閣下!」
「素直に、かどうかは不明だが、この宿に泊めてもらうからには、従わねばな」
「もし、ソフィアさんのことを蔑んだりしたら、鞭打ち100回だぜ!」
「バシリキ殿は、案外と優しいな。私ならば、即・斬首だ」
冗談か本気か解らない、エディンの言葉だ。
ソフィアは顔を赤らめて、しきりにエプロンの裾をいじっている。
「そんな、トップだなんて。私はただの、旅館の女将です」
「それが、この宿で一番偉い、ってことだよ!」
大笑いしながら、バシリキは外へ出て行った。
手下たちに事情を話し、ダマビア人の身体特徴を驚いたり、差別したりしないようにと命令するに違いない。
彼のこれまでの言動に、アルネはピンときた。
「バシリキさんは、ソフィアさんが好きなんですね」
「良いことだ。彼女の亡くなったパートナーは、ネイトステフ人だった」
異国の人間同士が解り合って、結ばれる。
それが、今後のダマビアの未来を築いていくのだろう。
アルネとエディンは、顔を見合わせ微笑んだ。
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