195 / 372

5

「私も、アルネと同じようにしたい。いいか?」 「どうぞ」  では、とエディンはアルネの真っ白い胸に、顔をうずめた。  かすかに、甘い石鹸の香りが漂う。  その滑らかな胸に、そっと頬ずりをした。 (なッ、何て心地いいんだ……!)  あまりの気持ちよさに、エディンの口から声が漏れ出た。 「はぁあぁ……」 「ど、どうしたんですか!?」  まるで、温泉にでも浸かったかのような、エディンの声だ。  アルネは驚いたが、彼は照れた表情を見せて、片目をつむった。 「いや、ちょっと嬉しくて」  何度も何度もアルネの狭い胸に、エディンは頬ずりをする。  まるで、幼子のように。  その様子に、アルネは彼を哀しく思った。 (きっとエディン様は、こんな風に誰かの胸で、甘えたことがないんだ)  自然とアルネの両腕は、エディンを抱き寄せ、髪を撫でていた。  長い旅路の果てに、ようやく訪れた安らぎを、二人で噛みしめた。

ともだちにシェアしよう!