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第四十二章 帰国

 念願の鎮痛薬・モルフェを手に、テミスアーリンへと急ぎ戻ったアルネだが、足を踏み入れた王宮内は様変わりしていた。  回廊を忙しく駆け回っていた医療従事者たちの姿が、無い。  代わりに、着飾った貴族がお喋りなどしながら歩いている。 「これは一体……」  呆然としたアルネに、貴族の一人が気付いて声を掛けてきた。 「おや? アルネ殿下ではございませんか」 「パウロス伯爵。お久しぶりです」 「いやぁ、軍閥のクーデターとは、災難でしたな。幸い私は、国外に知己がありまして」  そこを頼って避難していた、とパウロスは語った。  彼のように、貴族たちのほとんどが、戦災から逃げ出している。  そして今、まるで他人事です、といった顔をして歩いているのだ。

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