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ずいぶんと気楽なパウロスの様子に、アルネは焦れて訊ねた。
「その内戦で負傷した人たちを、宮殿内で手当てしていたはずですが!?」
「ああ、それでしたら全員、避暑宮へ移したと聞いていますよ」
「避暑宮へ!?」
アルネは、愕然とした。
避暑宮は、文字通り夏の暑さを避けるために建てられた、北の離宮だ。
夏はそれこそ涼しいが、今の季節では寒いはず。
「そんなところへ、怪我人を移すなんて!」
「わ、私に怒らないでください。カテリーナ妃が、そうなさったのです」
「カテリーナ妃!? 国外から、お戻りなんですか!?」
はい、とパウロスはうなずいた。
内戦が勃発して、すぐに亡命した、先王の正妻・カテリーナ。
彼女が、帰国した、と言うのだ。
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