212 / 372

2

「病棟を、移す。これが最優先だな」 「はい」 「すぐに、だよ!」  アルネ、そしてオアニアは、使用人を全て外へ出したエディンの部屋で、秘密の話し合いを始めた。 「アルネ、病棟の候補地になりそうな場所はあるか?」 「父上が使っておられた、国王離宮ですね。今は、誰も使っていないはずです」 「ふむ……」  エディンは頷きながらも、アルネについて考えていた。  思えば、彼の父はクーデターで命を落とし、まだ間もない。 (だのにアルネは、こんなにも健気だ。涙を見せず、負傷者のために思い出の場所を開け放とうとしている)  ヤバい。  抱きしめたい。  今すぐ!  しかしそれは、オアニアの目があるので、グッと我慢した。

ともだちにシェアしよう!