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「ではまず、私がカテリーナ妃へご挨拶をするその口で、負傷者の移動を提案しよう」
自己申告ではあるが、彼女は今現在のテミスアーリン王都の、トップだからな。
そんなエディンの考えに、アルネは素直なところを口にした。
「あの方が、首を縦に振るでしょうか?」
自己中心的で、おまけに派手好きなカテリーナは、あの美しい国王離宮を以前から欲しがっていた。
自然が多く残された、静かな庭園。
そこに、巨大な噴水をこしらえて、大掛かりなパーティーを開きたい、などと言っていたのだ。
「もしかすると、すでに工事を始めているかもしれません」
「さすがの彼女も、まだ夫の喪が明けていないうちから、そんなことは……」
「いいえ、やりかねません。カテリーナ妃ならば」
アルネの強い口調に、エディンは立ち上がった。
「では、急ごう。今すぐに、カテリーナ妃に謁見だ」
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