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第四十四章 作戦開始?

 アルネが、謁見したいと言って来ている。 (これは、後回しにできる案件だわね)  カテリーナは、アルネを甘く見ていた。  所詮は、側室の息子。  しかも、第二王子だ。  王位継承権からは、最も遠い地位にある人間だ、と。  だがしかし。 『ネイトステフ王国の竜将・フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下もご一緒なのですが……』  側近は、そう付け加えてきたのだ。  カテリーナは、エディンの名に思惑を広げ始めた。  冷徹勇猛な生粋の軍人で、千人斬りの死神。  ネイトステフ王国の、第三王子。  このたびの戦勝は、彼の力添えが無ければ実現しなかったと聞いている。  そして、護衛で旅に同行するほど、アルネ側の人間だ……。 (でも、付け入る隙はあるわよ)  彼女の赤く紅をひいた口の端が、ニヤリと上がった。

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