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竜将は、確かに千人斬りの死神。
だがそれは、ベッドを共にした相手の人数、とも囁かれているのだ。
(彼は、色を好む男。だったら、私の美貌で味方につけることも容易いわ)
側近はそんな彼女に、もう一人の紹介をしていたが、耳に入っていなかった。
「そしてダマビアより、親善大使・オアニア様がはるばるお越しです」
「ちょっと待って」
カテリーナは、オアニアの名を右から左に聞き逃し、手鏡を使って髪や顔を整えた。
赤い紅をもう一度ひき直し、にんまりと微笑んだ。
「良くってよ。お招きなさい」
「かしこまりました」
白塗りの美しい重厚な扉が開かれ、三名がカテリーナの待つ室内へと入って来た。
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