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「ようこそ、フェリックス殿下! テミスアーリンの危機を救ってくださり……キャアァア!」
カテリーナの目に飛び込んできたのは、オアニアだった。
一つ目で指が二本の、異形の少年。
彼を見て、思わず悲鳴を上げていた。
「人の顔を見て、いきなり叫ぶなんて。はしたないですねぇ、失礼ですねぇ、肝が据わっていませんねぇ」
すました顔で、オアニアは言う。
「そんなことでは、このテミスアーリンの為政者にふさわしくないのでは?」
「おだまり! お前たち、早くこの化け物を、追い出しなさい!」
取り乱したカテリーナは、側近たちに怒鳴った。
しかし、先程オアニアを紹介した者が、落ち着き払った声でもう一度言った。
「こちらオアニア様は、ダマビアよりお越しの親善大使です」
「えっ、ダマビア? 親善大使?」
カテリーナも愚か者ではなかったので、その国名とアルネをすぐに結び付けた。
彼が鎮痛薬を求めてダマビアへ旅に出た、との話は、耳にしていたからだ。
すぐに立ち直ると、作り笑いを浮かべた。
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