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第四十八章 兄の危機

 テミスアーリン王国の重臣たちは、困っていた。  国民に課す、税についてなのだが。 「仮王陛下は、民衆も戦乱で大きな打撃を受けた、と仰せだ」 「だから、昨年より税率を下げて、復興に尽くすように、とおっしゃる」 「カテリーナ妃は、内戦で国力が衰えていると外国に思わせるのはまずい、と仰せだ」 「だから、昨年より税率を上げて、外交に力を入れるように、とおっしゃる」  そこで、大きな溜息だ。  仮王はまだ病床にあるが、国政に意見できるほどまでに回復した。  それは喜ばしいことなのだが、まるで女王のように振舞うカテリーナと、衝突しているのだ。

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