237 / 372
2
「一体、どちらの御意見を採用すればいい?」
「両者とも、ごもっともではあるが……」
「私は、仮王陛下を推す。内戦の混乱を共に闘い、王国軍を勝利に導いたのは陛下ですぞ!」
「私は、カテリーナ妃を推す。恐れ多くも、亡き国王陛下の正妻でいらっしゃいますぞ!」
さらにカテリーナには、国王との間に設けた息子・ハルパロスがいる。
クーデターが起きなければ、跡継ぎの第一候補になっていた息子だ。
「しかしながら仮王陛下も、亡き国王陛下の血を引く、れっきとした王子です!」
「先にお生まれになったのは、ハルパロス殿下だ!」
「年下でも、仮王陛下の方が王の器を持っておられる!」
こんな具合に、世継ぎの件でも揉めているのだ。
臣下までもが分断の危機にあることを、エディンは知っていた。
彼も一応、外国であるネイトステフの人間だ。
城内はもちろん、市中にもスパイ網を張り巡らせて、テミスアーリンの動向をうかがっていた。
ともだちにシェアしよう!

