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「こんな具合に、城内は真っ二つに割れている」
「戦後、みんなで力を合わせて、乗り越えなければならないのに……!」
エディンの部屋でお茶を飲みながら、アルネはその報告を受けていた。
不甲斐ない政治家たちへの怒りを、あらわにしていた。
「しかしだな。市中の声は、仮王陛下寄りだ。やはり、最前線で身を挺して戦われたからな」
「だけど、そのせいで兄上は、未だ床に臥せっておいでです」
「そのことなんだが」
エディンは少し前かがみになり、声をひそめた。
「あまりにも、治りが遅いと思わないか?」
「でも、北の離宮からお引越しなさってからは、ずいぶんと良くなられましたよ?」
素直で疑いを知らないアルネに、エディンはただ頷くにとどめた。
(もしや、とは思うが。故意に、治癒を遅らされている可能性がある)
この疑念は、優秀な薬師であるオアニアに依頼して、調べてもらっている最中だ。
仮王の政敵であるカテリーナが、裏で糸を引いているのかもしれない。
そう、エディンは考え始めていた。
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