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 異変は、早朝に起きた。  アルネの寝所に、慌てた様子で侍従が飛びこんで来たのだ。 「お休みのところ、失礼いたします! アルネ殿下、仮王陛下のご容体が!」 「兄上が、どうかなさったのですか!?」 「未明に、嘔吐されて! その後は、意識が混濁しておられます!」 「えぇっ!?」  寝着の上にガウンを羽織っただけの姿で、アルネは部屋を飛び出した。 「兄上……昨日まで、あんなにお元気だったのに!」  回廊で、同じような姿のエディンに出会った。  こちらはさすがに武人だけあって、剣を手にしてはいたが。 「エディン様! 兄上……兄上が!」 「うろたえるな、アルネ。陛下は、きっとご無事だ!」  大急ぎで、二人は側近たちと共に、仮王の病室へと向かった。

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