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「あ、良かった! 二人とも、間に合った!」  仮王の病室で待っていたのは、大勢の医師と薬師たち。  そして、オアニアだった。 「アルネ、早く兄上の元へ!」  母が先に到着しており、すでに仮王の枕元にしゃがみ込んでいた。  彼女は、すでに健康を取り戻し、杖をついて歩くことができる。  その母が、不健康な時より青白い顔色でアルネを呼ぶのだ。  エディンは周囲の状況から、仮王の命が危ないのだとすぐに悟った。 「兄上! どうか、しっかり!」 「アルネ……私は、しばし眠りに就くよ……」 「不吉なことを、言わないでください! どうか、お気を確かに!」  母・アミエラは、息子の手をしっかりと握り、必死で祈りを唱えている。  まさか、先王に続いて仮王までが、崩御……?  アルネとアミエラ以外は、そう覚悟を決め始めていた。

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