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第四十九章 家族の愛

 すでに瀕死の状態と思われる仮王に、アルネはすがっていた。  ぽろぽろと涙をこぼす姿に、エディンは心を打たれた。  不謹慎は承知の上だが、感動していたのだ。 (アルネ。君は本当に、情の深い子なのだな。兄上を心から愛し、慕っているのだな)  そう思い、自分自身を見つめ直していた。 (おそらく私は、二人の兄がこのような状態でも、涙ひとつ生まないだろう)  幼い頃から両親である国王と王妃に、将来は跡を継いで王となる長兄の補佐となるよう、育てられた。  政治に明るい次兄が副王となると、国境を護るために最果ての地へ飛ばされた。  それを不服に思ったことは無いが、そんな家族に一切の情は持たない、エディンなのだ。  そこへ、知らせを聞いて駆け付けた重臣たちが、口々に問いかけ始めた。

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