244 / 372
4
「仮死状態、って一体どういうことですか!?」
アルネは、兄ではなくオアニアに向かって、そう訊ねた。
彼はその豊富な知識と腕前を高く評価され、仮王専属の薬師に名を連ねているからだ。
オアニアはうなずき、アルネたちに説明を始めた。
「実は、仮王陛下の体には、ある種の毒が溜まっているようなんだ」
「ど、毒!?」
「おそらく何者かが、時間をかけて少しずつ、陛下に飲ませていたと思う」
そこで初めて、エディンが発言した。
「それは、戦で負傷されてからのことか? 薬に、こっそり混ぜていたのだろうか」
「うん。多分、そうだと思う。薬に混ぜれば、味や臭いがごまかせるからね」
劇薬を使って突然死、となれば、誰が陛下に毒を盛ったのか、と大騒ぎになる。
だが、少しずつ免疫力や耐性を弱めていく薬を使って、弱った体にしてしまえば。
「そうすれば、健康体なら効かないくらいの毒薬でも、命にかかわるんだ」
オアニアは冷静に、そう述べた。
ともだちにシェアしよう!

