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「仮死状態、って一体どういうことですか!?」  アルネは、兄ではなくオアニアに向かって、そう訊ねた。  彼はその豊富な知識と腕前を高く評価され、仮王専属の薬師に名を連ねているからだ。  オアニアはうなずき、アルネたちに説明を始めた。 「実は、仮王陛下の体には、ある種の毒が溜まっているようなんだ」 「ど、毒!?」 「おそらく何者かが、時間をかけて少しずつ、陛下に飲ませていたと思う」  そこで初めて、エディンが発言した。 「それは、戦で負傷されてからのことか? 薬に、こっそり混ぜていたのだろうか」 「うん。多分、そうだと思う。薬に混ぜれば、味や臭いがごまかせるからね」  劇薬を使って突然死、となれば、誰が陛下に毒を盛ったのか、と大騒ぎになる。  だが、少しずつ免疫力や耐性を弱めていく薬を使って、弱った体にしてしまえば。 「そうすれば、健康体なら効かないくらいの毒薬でも、命にかかわるんだ」  オアニアは冷静に、そう述べた。

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