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「打つ手は、あるのか?」
エディンの言葉を、アルネは救いに感じた。
打つ手は無いのか、ではなく、打つ手はあるのか。
(エディン様は、打つ手がある方の可能性を、信じてくれているんだ)
そしてオアニアは、力強くうなずいたのだ。
「さっきも言ったように、陛下を仮死状態にする。身体機能を、極限まで落とすんだ」
そして、毒の効果をも弱める。
さらに、体内に蓄積された毒物も、浄化させる。
オアニアは、そう答えた。
「仮死と言ってもホントに死んでるわけじゃないから、毎日のお世話は要るよ」
「それは、私がやります!」
アミエラが、即答した。
第二夫人とは言え、王妃だ。
病人の世話を行うような身分では、ない。
だがしかし。
「大切な息子の生死を左右する、最後のチャンスです。母親の私が、面倒を見たいのです!」
母親の見せる強い愛に、エディンはやはり心を打たれた。
アルネに、そしてアミエラに、深い家族の絆を見て感動していた。
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