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 バシリキの率いる盗賊団『赤の鷲』は、事実上解散した。  鍛冶屋に興味を持った者は、ロビーを親方と頼ってテミスアーリンへ来た。  薬学に興味を持った者は、ダマビアで勉強を始めた。  砂漠の旅が性に合う者は、キャラバンを編成し、ダマビアとテミスアーリン間を行き来するようになった。  そして、あのバシリキは。 「まさかバシリキさん、ソフィアさんにプロポーズするなんて!」 「しかも、結婚式の招待状まで同封してやがる。気の早いこった!」  バシリキは、砂漠のならず者たちがダマビアを襲撃しないように、かの地へ残ったのだ。  赤の鷲・首領のバシリキと言えば、それなりに名の通った猛者だ。  少なくとも、ソフィアの住む州は平穏になった。  他国の人間と違う外見を隠し、幽霊のように潜む必要はなくなったのだ。

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