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「僕への手紙には、剣術の先生になった、って書いてありました」
「彼のような両剣の使い手が、育つかもしれないな」
微笑むエディン宛てにも、バシリキは手紙をしたためていた。
ただ、その内容については、誰にも話してはいない。
『エディン様には、何と書いてありましたか?』
『ぅん? まぁ、その。元気でやっているか、などだな』
こんな具合に、宮殿でアルネに訊かれても、濁したような返事だ。
いつも結論からハッキリと述べる彼には、珍しいことだ。
ロビーと語り合うアルネを眺めながら、エディンは一人で手にした長剣のポンメルをいじっていた。
(言えない……とても、言えない!)
バシリキは、彼に宛てた手紙に、こう書いていたのだ。
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