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『竜将親分は、まだアルネ坊ちゃんと結婚しねえのかぃ?』
「っく、むぁあ!」
静かにお茶を飲んでいると思っていたエディンが、急に声を上げて悶えたのだ。
アルネもロビーも、驚いた。
「どうかしましたか、エディン様!?」
「どこか、痛むのか!?」
しまった、とエディンはうつむき、咳込んで見せた。
「す、すまない。茶が変なところに入って、むせただけだ」
「なら、いいけど……」
嘘の咳をしながら、ちらりとアルネを見ると、彼は席を立ちこちらへやって来る。
そして、優しく背中をさすり始めたのだ。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。もう少し、かな」
背中を撫でてもらいながら、エディンはその安らぎを噛みしめた。
(こうしていると……本当に彼と。ずっと一緒に……)
そして、本気で彼との結婚を考え始めていた。
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