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 窓を開けて風を入れると、カテリーナから放たれる香害が、和らいだ。  エディンはホッとして、少し深呼吸をすると、彼女に向き直った。  向き直って、驚いた。  カテリーナは、怒りをあらわにした表情だったのだ。 「どうかなさいましたか?」 「どうもこうもないわ! フェリックス、私と同衾なさい。これは、命令です!」  その剣幕には驚いたが、内容には呆れ果てるばかりだ。 「私に下知を下すことができる存在は、ネイトステフの王だけですよ」  そして、彼女のあからさまな誘惑を、これ以上受けたくはなかったので、こう付け加えた。 「それから、もう一人。私の想い人しか、私を動かすことはできません」 「想い人? やはり、ピュアなところがあるのね。千人斬りの竜将にも」  嘲笑うように、カテリーナは真っ赤な紅をひいた唇で囁いた。 「何も、夫婦になりましょう、とは言ってないわ。良いではないの、想い人がいても」  内緒にしておけば解らないし、と彼女は言うのだ。

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