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第五十三章 毒母と驕児
カテリーナの誘惑で、逆にアルネへの想いを確かにしたエディンだ。
しかし、彼女はまだ諦めてはいなかった。
(こんなに一途な男を虜にすると、さぞ楽しいことでしょう!)
カテリーナは、奥の手を使うことにしたのだ。
怒りを収め、溶けるような笑みを寄こしたかと思うと、エディンの胸に飛び込んで来た。
「素晴らしいわ。貴方の愛は、本物ですのね……」
「カテリーナ様?」
「でも、先程も言ったでしょ? それで良い、と。身も心も、命さえも、その御方に捧げてよいのよ」
彼女は、何を考えているのか、とエディンは警戒した。
(同じことを繰り返すほど、この御方は愚かではないはず)
そして、彼の懸念した通り、カテリーナは新たな一手を突きつけてきた。
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