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必死で言い訳をするハルパロスを睨みつけていたエディンは、視線を彼に向けたまま、アルネの従者たちに指示をした。
「ハルパロス殿下が用意した茶葉と、淹れたお茶。全て回収して、医療宮のオアニアへ渡してくれ」
「かしこまりました!」
「ま、待て! どうする気だ!?」
「成分を調べてもらう。アルネ殿下を毒殺しようと……」
「毒殺!? 冗談じゃない、それは媚薬だ! 飲んでも、死ぬものか!」
そこまで一気にしゃべった後、ハルパロスは手で口を押さえた。
(しまった……!)
あろうことか、アルネに媚薬を盛ったと、自白してしまったのだ。
「い、いや、つまり。私とアルネは、確かに愛し合ってはいるんだ。ただ彼が、あまりに貞淑だから……」
「媚薬で解放しようと、企んだか」
「そう! それだ、その通り! 私は、悪くない!」
あまりにも嘘にまみれて、身勝手なハルパロスだった。
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