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 ハルパロスの醜い言動に、エディンの瞳が細くなった。  そして、見開くと同時に、落雷のような声を彼に浴びせた。 「アルネから離れろ!」  母・カテリーナはもちろん、亡き父にも怒鳴られたことのないハルパロスは、震え上がった。  腰を抜かしてしまったので、じりじりと尻で這うように、アルネから離れた。  怯えるハルパロスを睨みながら、エディンは心の片隅で、自分自身にホッとしていた。  正直、彼に浴びせる罵詈雑言は、山のようにあったのだ。 『その汚れた腕で、彼を抱くことは許さん!』 『よくも私のアルネを、たぶらかしてくれたな。この痴れ者!』 『破邪の剣・トゥサイオの錆となれ!』  実際、エディンの手は気づかないうちに、長剣のグリップを握りしめ、怒りに震えていた。

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