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エディンは、ネイトステフ王国の人間だ。
暴言はともかく、テミスアーリン王国の第一王子に向かって剣を抜けば、最悪の場合二国間の戦争に発展する。
(私も、よく我慢したものだ)
即・斬首に走らなかった自分に、エディンはホッとしていた。
ハルパルスがアルネから離れたので、侍従たちが駆け寄った。
「大丈夫ですか、アルネ殿下!」
「熱が、あられるようだ」
「誰か冷たい水を!」
「お医者様を、早く!」
彼らの慌てふためく様子に、ようやく自分が重大な過ちをしでかした気分になってきた、ハルパロスだ。
目線を泳がせ、もじもじしていると、再び荒々しい靴音が聞こえてきた。
それは、侍従の一人が呼んだ、宮廷警備隊だった。
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