275 / 372

5

「アルネ殿下が、ハルパロス殿下の手によって毒を盛られたと聞いて、参上いたしました!」 「殿下。それは事実ですか? 犯行を、お認めになられますか!?」  まるで犯罪者のような扱いに、ハルパロスは逆ギレした。 「毒といっても、他愛ない媚薬だ! アルネを殺めようとしたわけじゃない!」  しかし警備隊たちは、これで引き下がるような任務を担ってはいなかった。  二名が素早くハルパロスの両側に走り、一名が背後に立った。  そして、この小隊の隊長が、厳しく言い渡したのだ。 「処罰が決定するまで、ハルパロス殿下の身柄を拘束します」 「何だって!? 私は、テミスアーリン王国の第一王子だぞ!」 「当方が用意しましたお部屋で、しばらく謹慎ねがいます」  ハルパロスが反論する前に、両サイドの隊員が、彼の腕をしっかりと掴んだ。 「殿下。お諦めください」  重々しい隊長の声に、ハルパロスはうなだれた。  そして、アルネの部屋から独房へと連行されていった。

ともだちにシェアしよう!