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 アルネは、熱い体を悶えさせながら、愛しい人を求めていた。  両腕を伸ばし、宙空を掻き、涙を流して訴えていた。 「エディン様……エディン! 僕の、僕のエディン……どこ……?」  長椅子に横たわったアルネの体が床に落ちないように、使用人たちは囲んで彼を支えた。  そうしながら、主人の神経が焼き切れてしまわないよう、励ましの声を掛け続けた。 「アルネ殿下、ご安心を」 「今、フェリックス殿下がいらしております」 「すぐに、引き合わせて差し上げますからね」  体だけでなく、精神も支えながら、彼らは医師とエディンの方を見ていた。  早く、現状を打破してください!  アルネ殿下の苦しみを、和らげてあげてください!  そんな心の声を、まなざしに込めていた。

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