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「竜将閣下は、よほど親しい間柄でないと、ミドルネームでは呼ばせない。そうですね?」
「おっしゃるとおりだ。私は、アルネを特別に思っている」
「しかも……お気づきですか? 貴殿は今、アルネ殿下を呼び捨てていらっしゃる」
「あっ!」
エディンは、口元に手をやった。
しまった。
(彼を心配するあまり、つい……!)
だが医師は、そんなエディンを責めたりはしなかった。
逆に、前向きな判断をしたのだ。
「アルネ殿下の発情を鎮められる御方は、あなた様しかおりません!」
そして彼は体をよけると、エディンに場所を空けた。
「まずは手を取って、呼びかけてみてください」
「ありがとう、恩に着る」
エディンは急いでアルネに寄り添い、その手を握った。
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