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 発情したアルネは、抗いがたい美色をまとっていた。  すぐにでも抱きしめたい想いを抑え、エディンは彼の手を握った。  そして、愛しいその名を呼ぼうと思ったのだ。  だが、手を取った瞬間、エディンに激しい衝撃が走った。 「ぅあッ!  ……く、うぅ!」 「どうなさった!? フェリックス殿下!」 「アルネの手を握ると……痺れるのだ! そして……ぅうッ!?」  医師が回り込んでエディンを見ると、彼もまた息を荒げているのだ。  その様子に、医師はピンときた。 「竜将閣下は、たしかアルファ性でございましたね!?」 「そう……だが?」  エディンは歯を食いしばり、瞼を固く閉じて衝動に耐えていた。  アルネと一つに交わりたい。  その突き上げる性欲を、こらえることに必死だ。 「閣下は、おそらくアルネ殿下のつがい! 殿下と添い遂げるべき御方!」  医師の言葉に、エディンは驚きを隠せなかった。

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