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よく耳を澄まさないと、聞き逃しそうな細い声。
だがエディンは、それをしっかりと受け取った。
「エディン、お願い……キスして……お願い……」
「アルネ」
もう、ためらわない。
国中の人間が見ていようが、構わない。
エディンは、必死に伸ばしてくるアルネの手を取った。
手と手を繋ぎ、指を絡ませ合った。
「アルネ。大切な、私のアルネ……!」
「エディン」
視線も絡ませた後、二人は吸い寄せられるように近づき、唇を重ねた。
ゆっくりと、穏やかに。
とても発情に我を見失っているとは思えない、豊かで温かなキスだった。
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