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第五十八章 良いニュースと悪いニュースと
「アルネ、調子はどうだ?」
「エディン様!」
特別療養室に入って来たエディンに、アルネは目を輝かせた。
特別、とだけあって、一般の入院部屋より広く、ベッドや調度品が豪華だ。
王族や貴族のために作られた、病室。
アルネはそこに、一週間ほど滞在していた。
いや、滞在させられていた。
本人は、もう大丈夫、この通り元気だと言い張るのだが、医師が退院を許可しない。
『得体のしれない毒が、体内に入ったのですぞ!』
こんな具合に、厳しい態度を崩さないのだ。
幸い薬学に詳しいオアニアが、すぐに解毒剤を調合してくれたので、一安心ではある。
だが、貧血が起きる可能性がある、とのことだ。
アルネはずっと、医師の管理のもとで、大人しくしていなくてはならない。
日に一度の、エディンのお見舞いだけが、彼の楽しみだった。
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