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第五十九章 裁きの始まり

『アルネ様の、お兄様。つまり、仮王陛下に毒を盛り続けた者を、突き止めたんだ』  オアニアの言葉は、アルネに緊張をもたらした。  だがまず、エディンが返答した。 「そのような極秘事項を、他国民の私に聞かせてもいいのか?」 「あっ、しまった!」  オアニアは慌てて口を塞ぎ、エディンは苦笑いだ。 「まぁ、聞かなかったことにしよう。私は、席を外す」  療養室から出ようと後ろを向いたエディンだったが、その服の裾をアルネは握った。 「どうぞ、ここに留まってください。一緒に聞いて欲しいんです」 「いいのか?」 「この件を、僕はどう裁くべきか。それを導いて欲しいんです」  確かに、為政者としては、国王としては、アルネはまだまだ経験が足りない。  そのことを、彼は不安に感じているのだろう。 (いや、しかし……)  エディンは、考えを巡らせた。

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