293 / 372

3

 一方でカテリーナは、イライラと機嫌の悪い日々を送っていた。 「なんですの、このお味は! 薄くて、とても食べられませんわ!」  テーブルの上に並べられた豪勢な料理を、一口食べただけでひっくり返していた。 「し、しかし。シェフが言うには、旬の食材ですので、そのものの風味を……」 「言い訳は聞きたくありません! 作り直すよう、命令なさい!」  慌ててダイニングから出ていく給仕の背中に、彼女は追い打ちをかけるようにフォークを投げつけた。 「まったく! まだハルパロスは、独房から出られませんの!?」  可愛い息子と共に食事をする楽しい時間を取り上げられ、カテリーナは荒れていたのだ。  ハルパロスがアルネ暗殺未遂の疑いで、取り調べを受けている。  そう聞いたカテリーナは、すぐに彼を解放するように、法務大臣に働き掛けた。  だがしかし、返って来たのは塩対応だった。

ともだちにシェアしよう!