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一方でカテリーナは、イライラと機嫌の悪い日々を送っていた。
「なんですの、このお味は! 薄くて、とても食べられませんわ!」
テーブルの上に並べられた豪勢な料理を、一口食べただけでひっくり返していた。
「し、しかし。シェフが言うには、旬の食材ですので、そのものの風味を……」
「言い訳は聞きたくありません! 作り直すよう、命令なさい!」
慌ててダイニングから出ていく給仕の背中に、彼女は追い打ちをかけるようにフォークを投げつけた。
「まったく! まだハルパロスは、独房から出られませんの!?」
可愛い息子と共に食事をする楽しい時間を取り上げられ、カテリーナは荒れていたのだ。
ハルパロスがアルネ暗殺未遂の疑いで、取り調べを受けている。
そう聞いたカテリーナは、すぐに彼を解放するように、法務大臣に働き掛けた。
だがしかし、返って来たのは塩対応だった。
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