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『王族同士での、しかも暗殺未遂事件です。全容が明らかになるまでは、ハルパロス殿下にお話しを聞かせていただきます』  法務大臣はこう言って、カテリーナの命令を一蹴したのだ。 「あの石頭! しかも、当のアルネはサッサと退院して、元気に歩き回っているじゃないの!」  これのどこが『暗殺』だ、とカテリーナは憤った。 「こうなったら、大臣たちを全て入れ替えるしかないわね」  現・大臣たちは、ほとんどが先王及び仮王に従っていた人間で構成されている。  カテリーナは、それを自分に都合の良い人材で、固めてしまおうというのだ。 「それにしても、料理が遅いわ……誰か! シェフに急ぐよう、言っておいで!」  すると、すぐに扉が開いた。  しかしそれは、給仕らではなく、宮廷警備隊の面々だった。 「カテリーナ妃に、少々お尋ねしたいことがございます」 「今、食事中ですのよ?」 「では、お食事が済むまで、待たせていただきます」  物々しい警備隊たちに囲まれていては、料理の味もしないというものだ。  カテリーナは早々に食事を済ませ、彼らに宮殿奥へと案内された。  そこは彼女も知らない、初めての部屋だった。

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