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カテリーナが通された部屋は、奇妙な間取りだった。
ドアから入ると、奥の左右に、また一枚ずつドアがあるのだ。
合計3つの扉を持つこの部屋は、王族を裁くために使われる特別な場所。
『裁きの間』と呼ばれる、神聖な場所だった。
そして、そこには三脚の椅子が置かれ、アルネ、ハルパロスが掛けている。
とまどうカテリーナは、残る一脚の椅子に掛けるよう、うながされた。
三名の王族の他には、法務大臣や宮廷警備隊たちが、そして竜将・エディンが、親善大使・オアニアが控えている。
全員が真剣な表情で、重々しい空気が部屋を満たしていた。
「一体、何の真似ですの? 何が始まると言うの!?」
癇癪を起こしかけたカテリーナだったが、衝立の裏から出てきた人物を見ると、息を飲んだ。
「お前は……!」
「カテリーナ様、ご勘弁を。私はこれ以上、罪の重さに耐えられません」
彼は、仮王専属の薬師。
カテリーナに買収され、仮王に毒を盛り続けた男だった。
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