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第六十章 事件の全容

「他国から嫁いで来られたカテリーナ様は、ご存じなかったでしょうが」  法務大臣の声に、カテリーナは視線を向けた。 「ここは『裁きの間』です。これより、あなた様とハルパロス殿下への審判を下します」 「なんですって!?」  カテリーナは怒りで真っ赤になり、ハルパロスは絶望で顔色を青くした。 「私がなぜ、裁かれるというの!?」 「それは、これより証人たちが告白いたします」   大臣が軽くうなずくと、現れた薬師がうつむいたまま語り始めた。 「私がいつものように、仮王陛下への薬を準備していた時のことです……」  本当に、吐いてしまうのか。  あの時のことを!   カテリーナの額に、嫌な汗が滲み始めた

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