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『お役目、ご苦労様』
『カテリーナ様! このような場所に、なぜ?』
『ひとつ、お願いがあるの。いいかしら?』
『何でございましょうか』
『これを陛下のお薬に、毎回少しずつ加えていただきたいの』
カテリーナが手渡した油紙の中には、小分けした紙包みがいくつも入っていた。
紙を開いて見ると、そこには透明な顆粒が茶さじ一杯ほどある。
そして、ところどころに青緑色の結晶が混ざっていた。
薬学を習得した者ならば、すぐに解る。
これは、体内に蓄積されて健康を害する、毒薬だ。
『か、カテリーナ様!?』
『もちろん、タダとは言わないわ。ちゃんとお礼も準備しましたのよ』
カテリーナは、毒薬の入った包みとは別に、小さな革袋を取り出した。
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