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『調べましたの。あなたには、難病に苦しむ娘がいる、と』 『そ、それは……!』 『成人するまで、高価な薬を飲み続けなければならない病気、ですわねぇ?』 『……』 『そろそろ貯えも尽きて、薬が買えなくなるかもしれない……そうでしょう?』    そこでカテリーナは、革袋の口を開け、中身を床にばら撒いた。  それは金貨や銀貨、宝石に小竜の爪などの、希少品だった。 『言いつけを守ってくだされば、これは全部あなたのもの。いかがかしら?』 『し、しかし!』 『可愛い娘を死なせてもいいの? 情けない父親だこと!』 『……』  薬師は黙って、カテリーナの足元に散らばる金貨や宝石を拾い始めた。  勝ち誇った彼女の笑い声を、聞きながら。  こうして薬師は娘のために、仮王の薬へ毒を混ぜ続けたのだ。

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