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「……以上です」
涙を流す薬師に、カテリーナとハルパロス以外は皆うなずいた。
彼の告白は、事前に渡された極秘文書に書かれていた内容と、一致している。
嘘偽りなく告白した勇気に、うなずいていた。
「出まかせよ!」
異を唱えたのは、カテリーナだけだ。
「私を陥れるために、その男は作り話を!」
「カテリーナ様。彼の持っていた金貨などには、あなたの指紋も残されていたのですよ」
「うっ……!」
「カテリーナ妃を、仮王陛下暗殺未遂の指示役とします」
まずいことになった、とカテリーナは唇を噛んだ。
(ハルパロスだけでなく、私の計画まで握られていたなんて!)
こうなったら、この先の展開はハルパロスに頑張ってもらうしかない、と考えた。
しかし彼女の思惑と違い、ハルパロスはひたすら覇気が無かった。
数日にわたる独房での生活と尋問に、すっかり委縮してしまっていたのだ。
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