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「僕、あれで良かったのでしょうか」 「さすがはアルネだ、と私は感心したよ」  裁きを終え、平服に着替えたアルネは、エディンの部屋でくつろいでいた。  長椅子に掛け、緊張の解けた身を、心を、エディンにもたれさせていた。 「今できる、最善の策だ。あれならば、どの国も、どこの誰もが、傷つかずに済む」 「しかし、カテリーナ妃は、怒ってらっしゃいました」 『離縁、ですって? いいでしょう、お気の済むようになさったら!?』 『私、ピアスに帰ったら、この国へ攻め込むかもしれませんことよ!?』 『それまで、国王気取りでいるがいいわ。アルネ坊ちゃま!』  不吉な言葉を残した、カテリーナ。  しかしエディンは、不安げなアルネを優しく腕に抱いた。 「あれは、彼女の虚勢だ。気に病むな」 「でも……」 「万が一ピアスが侵攻して来たら、この私が全力でアルネを守る」 「いけません。ネイトステフ王国を、巻き添えにはできません」 「ネイトステフが、ではなく。この私が、と言ってるんだぞ?」  エディンは、アルネが落ち着くまで、ずっと彼を抱いていた。  安らかな眠りに就くまで、その髪を撫でていた。

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