310 / 372
5
「お疲れなのでしょうな。昼間、大仕事をなさいましたから」
「ああ。しかし、名判決だった」
「そうだね。俺も、感動したよ!」
オアニアは、軽くうなずく医師と共に、アルネへ近づいた。
「脈拍を確認しておくね。毒の後遺症は、もう無いとは思うけど」
「よろしく頼む」
アルネの健康管理については、彼らを信頼している、エディンだ。
彼は、先程まで安らかに眠っていたアルネの姿を思った。
(おそらく、何も心配ないだろう)
だがしかし。
「あぁッ! こ、これはぁ!」
「ななッ、何ということでしょう!」
突然に大声を上げたオアニアと医師に、エディンは驚いた。
そしてすぐ、両名に訊ねた。
「どうした? アルネ殿下に、何か異常が!?」
「アルネ様の首元に、刻紋が付いてるんだよぉ!」
「これは、アルファによる『つがい』の印です!」
アルネの首元には、うっすらと紅い紋様が浮かび上がっていた。
ともだちにシェアしよう!

