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「お疲れなのでしょうな。昼間、大仕事をなさいましたから」 「ああ。しかし、名判決だった」 「そうだね。俺も、感動したよ!」  オアニアは、軽くうなずく医師と共に、アルネへ近づいた。 「脈拍を確認しておくね。毒の後遺症は、もう無いとは思うけど」 「よろしく頼む」  アルネの健康管理については、彼らを信頼している、エディンだ。  彼は、先程まで安らかに眠っていたアルネの姿を思った。 (おそらく、何も心配ないだろう)  だがしかし。 「あぁッ! こ、これはぁ!」 「ななッ、何ということでしょう!」  突然に大声を上げたオアニアと医師に、エディンは驚いた。  そしてすぐ、両名に訊ねた。 「どうした? アルネ殿下に、何か異常が!?」 「アルネ様の首元に、刻紋が付いてるんだよぉ!」 「これは、アルファによる『つがい』の印です!」  アルネの首元には、うっすらと紅い紋様が浮かび上がっていた。

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