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第六十三章  エディンとアルネとプロポーズ

 眠るアルネの白い首元に、うっすらと浮かぶ紅い刻紋。  それは、アルファがオメガに付けることのできる、つがいの印だった。 「大変だぁ!」 「一体どうして!?」  大切な友人の異変に、オアニアは驚いた。  高貴な主人に付けられた印を見て、医師は慌てた。  しかし、取り乱して騒いだのは、ほんのわずかの間だ。  すぐに、二人同時にエディンを見た。 「フェリックス殿下、アルネ様に何かした!?」 「身に覚えが、あられますな!?」  突然に詰め寄られ、エディンは怯んだ。 「いや、甘噛みしただけだ! それに、あの時はこんな跡など付いていなかった!」 「噛んじゃったの!?」 「噛んだのですな!?」  アルファがオメガの首を噛むと、正式に『つがい』が成立する。  オアニアと医師の説明を聞き、エディンは目を見開いた。  ついでに、口までポカンと開けていた。

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